ついていったら、こうなった −キャッチセールス潜入ルポ− / 多田 文明

ついていったら、こうなった―キャッチセールス潜入ルポ

ずいぶん前だけど、駅前でバスが来るのを待っているときに手をかざす人と遭遇したことがある。「自分は手をかざされることで病気が治った。これをみなさんに広めたい」ということらしい。バス待ちの列に並んでいて逃げられないので、言われるがままに手を胸の前で組んで目を閉じた。まー周りに人はいくらでもいるから大丈夫だろうという思いもあったし。…1分くらいたっても何もないのでうっすら目を開けると、その人の手が頭の上くらいに見えた。まだバスは来ないから再び目を閉じる。しばらくすると「目を開けてください」と言われ、感想を聞かれた。特に何も感じなかったけど、かといって完全に変化がないというのも相手が不機嫌になるのではないだろうか。んで、手が少し熱くなった(人前でやってたんでちょっと恥ずかしくて熱くなったということ。完全に嘘ではない)と伝える。すると、その人はお礼を言って去って行った。

この人はおそらく善意だけでやっているんだと思う。だって、手をかざしても何の得にもならない。けど、善意だけじゃない人はたくさんいて、この本ではそういう人たちと接触した話を集めている。

本書ではインチキ宗教から怪しい絵の即売会、無料エステ、コーヒー豆の先物取引まで、実際にキャッチセールスの現場に潜入。

ひとつひとつがけっこう短くてさくっと読める。面白いのは「ヘアケア・アドバイス」。このままだとハゲますよ、という恐怖。自分が普段から持っている不安や願望を突かれると、なかなか身を守ることが難しい。

さくっと読めるけどちょっと物足りない場合にはこっち。

洗脳体験 増補版 / 二澤雅喜, 島田裕巳

自己開発セミナーでの体験を書いている。自分がそこに没入していって、そこから抜け出すまでの体験。洗脳は、睡眠時間が短くて頭が働いていない状況で強制的にインプットさせられるという手法らしい。自己啓発の本を読むのはいいけど、それを消化せずに吸収するといったイメージだろうか。