お金をふやす本当の常識 / 山崎 元

お金をふやす本当の常識―シンプルで正しい30のルール

「資産運用」をするときに気をつけるべきポイントを30挙げている。これらのポイントをさらに凝縮すると、最終的にはふたつのポイントに絞られる。ひとつはリスクを認識すること、もうひとつはコストを意識すること。

例えば、うちの投資信託が良いですよという話を考える。このとき、その投資信託を100万円買ったとしたら最悪で30万円ほど元本割れするリスクがあることを認識して、年1%のコストを払わなければならないことを意識する。損をしたときにそれを埋められるだけの範囲で投資をする。複利の効果を考えたとき、確実に引かれていくコストはできるだけ低く抑えるほうがいい。

こんな観点から、投資信託株式投資・外貨預金・生命保険・不動産などについて幅広く書かれている。わかりやすい。全体としては株式投資に多くを割いていて、個人株式投資をオススメにしているみたい。初めて株式を買うときの銘柄分析に必要な「最小限にして且つ重要事項」が書いてあって、さらに著者個人の株式売買記録を載せているので、プロが個人投資家として動くときはどんな感じなのかを知ることが出来る。楽天証券に勤めている方なので、多少のポジショントークも混じっているんだろうけど。

面白いのは、よく用いられている手法をばっさり斬っていること。ドルコスト平均法は気休め。長期投資をしてもリスクは減らない。インデックスファンドは損をする。テクニカル分析は役に立たない。色々な人が色々なことを言っているので果たしてどれが正解に近いのか俺には分からないけど、よく言われていることに対する反論というのはできるだけ聞いておくべきだと思う。個人的に、ドルコスト平均法で高値をつかまないという気休めはアリ。精神的ダメージを低く抑えることのほかに、何か見落としている情報があったりしたときのダメージも小さくなるはず。

以下は30個のポイントの中で特に気になったもの。

分からない運用商品には手を出さない
投資のリスクを見積もるくせをつけよう
長期投資でもリスクは減らない
ドルコスト平均法を信じすぎるな
経済パニック論の真意を見抜け
株価指数を知りパッシブ運用に注意しよう
まずリスク、次にコストのチェックを
株は予想の変化と PER のふたつで OK